こんにちは、訪問マッサージきっこうどうの塩出です。

 

前回、骨粗しょう症についてお話ししました。

 

今回は、骨粗しょう症で骨がもろくなり転倒が原因で多く見られる4つ骨折についてお話しします。

 

 

 

もっとも多いのは背骨です。

背骨は、高齢者で特に骨折の頻度が高くなっています。背骨は常に体の重みを支えていることに加え、背骨を構成する椎骨の内部は骨代謝の影響を受けやすい「海綿骨」の占める割合が多くなっています。そのため、骨粗しょう症により骨が脆くなると、物を持ち上げたり、くしゃみをしたり、ちょっとのきっかけで骨折してしまうことがあります。しかも、背骨は1つの椎骨が折れると近くの椎骨に斜め方向から過剰な力が加わるため、隣り合う複数の椎骨が潰れてしまうことがあります。

背骨の骨折は痛みを感じないこともあり、背中が丸くなったり(円背)、身長が低くなるなどの変化が、骨折の重要なサインとなります。腰に痛みがある場合でも、「年のせい」とそのままにしている方もおられますが、腰痛の原因には筋肉や神経の障害、内臓系の疾患など骨折以外のさまざまな要因も考えられますので、1度は病院を受診して調べてもらうようにしてください。 
次に多いのは、脚の付け根です。

脚のつけ根の骨折(大腿骨近位部骨折)は日常生活へ及ぼす影響が非常に大きい骨折です。大腿骨は、先端の丸い骨頭と呼ばれる部分が、骨盤のくぼみにはまって骨盤と接しています。この大腿骨頭と大腿骨を連結しているあたりを大腿骨近位部といい、転倒時に骨折しやすい部位です。70歳を過ぎると生じやすく、大腿骨近位部骨折の8割以上は、転んでお尻を打ったり、膝を打ったり、太ももをねじったりすることで生じます。 

大腿骨近位部を骨折すると、立ったり歩いたりなどの基本的な動作が困難になります。高齢者では動けない状態が長く続くと、その間に筋力や体力の衰え、認知症のリスクが高くなるといったさまざまな問題が生じます。ほとんどの場合、再び歩けるようになるために手術が行われますが、手術後はなるべく早期にリハビリを行い、早い離床と日常生活への復帰を目指します。

 

転倒して、手をついた時に起こりやすいのが手首です。

手足の骨は長管骨(手や足の指などにある細長い骨)でできています。長管骨は細くても強度を保つため、硬い皮質骨でできていますが、端の部分は関節の動きがスムーズになるように膨らんでおり、空洞の多い海綿骨が多く含まれています。そのため、長管骨の端にあたる手首の骨は骨折が生じやすくなるのです。

手首を骨折すると、手首の関節が腫れたり、食器のフォークのように変形したりすることがあります。また、折れた骨で神経が圧迫されると、指がしびれることもあります。

手首の骨折は、女性では骨量の減る閉経前後から起こりやすく、50歳代で生じるケースもよくみられます。手首を骨折すると、その後に脚のつけ根(大腿骨近位部)の骨折をおこしやすいこともわかっています。女性は閉経前から早めに対処をして、骨密度の減少を食い止めることが骨折予防につながります。

 

最後は、転んだ拍子にひじや肩をつくと、折れやすいのが腕のつけ根(上腕骨外科頸部)です。この部位は骨が弱くなりやすい上に、力学的にも力が集中しやすいので、骨密度が減ると折れやすく、骨折すると激しい痛みがおこり、肩が動かせなくなります。脱臼を伴うこともあり、場合によっては手にしびれや感覚の障害が生じることもあります。

腕のつけ根の骨折は、脚のつけ根や手首の骨折よりは少ないものの、高齢になるほどおこりやすくなります。主に転んで肘を打ったときに骨折することが多く、手術や骨折した部位から下を4~6週間ほどギプスで固定する治療が必要になります。この部位は血流がよく、骨がくっつき(癒合)やすいので、固定をしている間は立ったり歩いたりといった動作を積極的に行って、足腰の働きを保ちながら治療を進めることが大切です。

また、骨が癒合した後、肩の関節が動かせなくなるために、関節が硬くなって動きが悪くなる「拘縮(こうしゅく)」が生じやすくなります。肩関節を動かせるようになったら、肩を温めたり、肩関節の動きをスムーズにする運動をすることが、拘縮治療には欠かせません。具体的には、膝を曲げて深くおじぎをするような姿勢で腕を前後に振る運動や、痛みが軽くなったらアイロンなどの重みのあるものを持って腕を前後に振る運動なども1つの方法です。

 

 

 

対策としましては、転倒に気をつけることです。

部屋の中でも安心はできません。

この合言葉「ぬかづけ」を覚えて、転倒しやすい場所を確認してみてください。

もし転倒して大したことないなと思っても、自分で判断せずお医者さんの診察を受けて下さい。